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3. 評価モデルの違い(BSモデル、二項モデル、モンテカルロ・シミュレーション)

入力者 山下章太 更新日 20100123

オプションの評価モデルは、大きく3つに分類されます。

■ブラック=ショールズ・モデル(BSモデル)

  デリバティブ(金融派生商品)の価格づけに利用される最も有名な偏微分方程式(及びその境界値問題)ですが、
  1973年にフィッシャー・ブラック(Fischer Black)とマイロン・ショールズ(Myron Scholes)が共同で発表しました。
  ブラック=ショールズ・モデルはヨーロピアン・オプション(満期時にしか権利行使をすることができないオプション取引)を評価するモデルですので、
  アメリカン・オプション(いつでも権利行使することができるオプション取引)を評価することは出来ません。

■格子モデル

二項モデル(バイノミアル・モデル)や三項モデル(トリノミアル・モデル)によってオプション価値を評価するものです。
こちらは、全行使期間を細分化して、その度に権利行使価格と株価を比較してオプションの価値を計算しますので、アメリカン・オプション
(いつでも権利行使することができるオプション取引)の評価や、複雑な条件のオプションもモデルに組み込むことによって計算が可能となります。

■シミュレーション・モデル

モンテカルロ・シミュレーション等によってオプション価格を算定するものです。
シミュレーション・モデル自体は、計算過程において用いられているだけで、利用されているモデルはブラック=ショールズモデルや格子モデルになります。

■ブラック=ショールズ・モデル

ブラック=ショールズ・モデルは1973年にフィッシャー・ブラック(Fischer Black)とマイロン・ショーズ(Myron Scholes)が共同で発表した理論であり、
ヨーロピアン・コール(及びプット)オプション(満期日にのみ権利を行使できるオプション取引)のオプション・プレミアムの計算を行うことができます。
後にロバート・マートンが厳密な証明を行いました。

余談ですが、破綻した有名なヘッジファンドであるLTCMには、マイロン・ショールズとロバート・マートンが取締役として参加していたことは有名です。

ブラック=ショールズ・モデルはヨーロピアン・オプション(満期時にしか権利行使をすることができないオプション取引)を評価するモデルですので、
アメリカン・オプション(いつでも権利行使することができるオプション取引)を評価することを前提とはしていません。

ただし、後に説明する格子モデル等においても、アメリカン・オプションの価値を算定する際には、満期まで保有する前提をおいて評価した方が価格が高くなるため、
特殊な条件が付与されていない場合ブラック=ショールズ・モデルで算定した結果と格子モデルで算定した結果はほぼ一致することになります。


ブラック・ショールズ式は、ヨーロピアン・オプションを評価する際に用いられる評価モデルで、確率微分方程式を仮定することで定式化し、
オプション価値を算出するものです。コール・オプションを例に採ると、オプション価値は下式で算定されます。

評価モデルの違い

本来のブラック・ショールズ式には配当支払による株価への影響(権利落ち価格)が考慮されていませんので、
通常は、配当による権利落ちを調整するために、ブラック・ショールズ式を以下のように修正して使用します。

【配当修正モデル】
評価モデルの違い

■格子モデル

格子モデルは、全行使期間を細分化して、その度に権利行使価格と株価を比較してオプションの価値を計算しますので、複雑なオプションの価値算定が可能であり、
かつ商品特性に応じたモデルの変更が可能なことから、ほとんど全てのオプションモデルを算定することが可能です。

ブラック=ショールズ・モデルのように、ヨーロピアン・オプションと仮定しなくても算定することができ、
行使価格が一定でない場合にも対応できることから、複雑なオプションの評価に適しています。
格子モデルの代表例である二項モデルの計算式は、以下の通りになります。

評価モデルの違い

評価モデルの違い


評価モデルの違い

評価モデルの違い


B各期間のオプション価値の算定

各期間において、以下の2つを比較し、何れか大きいほうを選択していきます。
■オプションを継続保有することによって得られる利益(期待値)
■オプションを行使して原資産を売却することによって得られる利益

この際、期待値を算定する必要がありますので、株価の算定は逆向きに(満期から順番に)計算することが必要になります。
この後ろから計算する方法を「バックワードインダクション」といいます。

評価モデルの違い


■モンテカルロ・シミュレーション

モンテカルロ・シミュレーションの説明として、円周率を求める例を用いていますが、同様の試算を行ってみます。
1辺の長さが1の正方形とそれに内接する4分の1円(扇形)がある場合、

正方形の面積 : 扇形の面積= 1: π/4

この正方形のなかに,ランダムに n 個の点を落としたとき,r個の点が円内に落ちたとすれば,
1: π/4 = n : r  ∴ π = 4 * r/n

となります。

モンテカルロ・シミュレーションは、nの数を増やしていくことで、『π = 4 * r/n』の理論値を求めていく方法です。

評価モデルの違い

評価モデルの違い


■ シミュレーション・モデル

この方法は、モンテカルロ・シミュレーション等によってオプション価格を算定するものです。シミュレーション・モデル自体は、
計算過程において用いられているだけで、利用されている株価推移モデルの前提は、ブラック=ショールズモデル等と同じ前提を置いています。
モンテカルロ・シミュレーションは、複雑な条件が新株予約権に含まれている場合にも、格子モデルよりも楽に計算することができますので、
オプション価格評価においては、非常に重宝される計算方法です。

<モンテカルロ・シミュレーションのオプション評価での利用>

唐突ですが、株価の推移は数学的には、ランダム・ウォークといわれるブラウン運動に従うとされています。
このブラウン運動の確率分布は正規分布になりますが、この現象を、株価を作成する際に利用するものが、モンテカルロ・シミュレーションです。
標準正規分布は下図のようになりますが、これをモンテカルロ・シミュレーションで作成すると試行回数によって以下の近似することができます。

評価モデルの違い

評価モデルの違い

評価モデルの違い


株価の推移であるブラウン運動を利用してオプション評価を実施するものが、モンテカルロ・シミュレーションですが、
複雑な条件を付与されたオプションであったとしても、算定することが可能となります。

仮に、ノックアウト(オプションの自動消滅条項)が段階的に設定されているような日経平均連動型オプションを評価する場合、
下図のように、モンテカルロ・シミュレーションによる株価推移を作成し、オプション価値を算出していきます。

評価モデルの違い

評価モデルの違い

評価モデルの違い


ブラック・ショールズ・モデルについては、先ほど説明しましたが、前提としては、満期時点にオプションを行使することを判断して、
評価を行っている点が大きく影響します。
この特性を有しているため、ブラック・ショールズ・モデルで評価できるタイプと出来ないタイプが発生します。
例を挙げれば、以下のようなものです。

■確率事象が等確率で発生しない契約
■配当率など株価推移が割引率とボラティリティ以外の要因に影響を受ける場合

「確率事象が等確率で発生しない契約」の場合は、金利スワップでそのまま評価できないケースを紹介しましたが、似たような場合が該当します。

ブラック=ショールズ・モデルは、満期時の売却価格の期待値によって評価を行いますので、
満期時までに行使を行うという前提が必要となる場合には、一切対応できません。

ここでの説明は、アメリカン・オプション(随時行使可能なオプション)かヨーロピアン・オプション
(満期時のみに行使可能なオプション)という違いとは全く別の次元の話で、満期まで保有していても同じオプション価値になるケースとは別の場合を指します。


特殊な条件が入っていないオプションは、満期時まで保有する方が途中で売却するよりも価値が同じか高くなりますので、
満期保有を前提とした評価がオプション価値となります。これは、アメリカン・オプションかヨーロピアン・
オプションということはブラック=ショールズ・モデルで評価できるかどうかという点とは全く別問題であることを意味しています。

評価モデルの違い

評価モデルの違い

金利スワップの際に説明したように、ある一定の事象が発生した場合、確率事象が等確率で発生していない場合とは、
オプションが消滅する「ノックアウト条項」が付与されている場合には、そもそもオプションを満期時まで保有するという前提が成り立ちません。

仮に、株価が70円を下回った場合にノックアウト(自動消滅)する場合、計算が満期保有した場合の売却価値が反映されない部分が生じるため、
評価額が大きく異なります。

評価モデルの違い



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